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【医療】ギランバレー症候群について( ゚Д゚)


こんにちわ!! Dr.manaoです。

今日は、私の経験談を投稿したいと思います。私の経験不足および知識不足を露呈することになりますが、この投稿が同じ医療者にとっての戒めまた医療者ではない人にとっても一つの判断材料や自分のことかも知れないと思われる一助になればいいな?と思います。

ある患者さんを診察しました。

72歳 女性

他院にて腰部脊柱管狭窄症の診断にて保存加療(投薬のみ)にて加療されていましたが、症状の改善なく、私の外来にいらっしゃいました。

両下肢の痺れ、脱力感を認めており、腰椎MRI上では多発脊柱管狭窄症を認め、私も脊柱管狭窄症による馬尾症状と考え、投薬の加療のみでは症状の改善が得られないことからブロック注射の併用を提案し、加療を行っていました。(ご本人及び家族も手術加療はのぞまれていませんでした。)

治療から約1か月経過したころより、ブロックをすると症状の緩和は得られてた感じはするとのことでしたが、本人より最近歩行ができなくなってきたとの訴えあり。

実際に歩行を視診したところ痙性歩行様であると考えられ、上肢症状を確認したところ巧緻運動障害を認め、頚髄症を強く疑い、頸椎MRIを施行。頸椎MRI上、髄内高信号を認め、頚髄症に伴う痙性歩行障害と考えました。

ここで、私の最大の過ち!!!を列挙します!!

1:症状の進行が約1か月~2か月以内で急性であったことを疑問を感じるべきだった。

2:非常に外来が混んでおり、初診時よりも再診時の診察に時間がかけられなかったことやブロック注射にて症状が緩和しているとの発言を認めていたことから、患者さんからの「なんか歩行がしづらい」との訴えに傾聴し早期から十分に診察に重きをおけなかったこと。

3:画像上頚髄症を認めるからといって、再度身体所見を確認し、反射や感覚障害の有無を確認をおこったったこと。要するに画像から病態をきめつけてしまったこと。

なるべくして、判断をみのがしてしまったと言わざるおえないでしょう・・・・

頚髄症による脊髄障害と考え、早期手術加療が必要であると考え、大学病院に紹介しました。結果、大学病院の先生にご高診をいただき、経過と身体所見上から頚髄症による症状ではなく、ギランバレー症候群と診断していただきました。

その後入院し、ガンマグロブリン療法を開始していただき、幸いにも歩行困難であった状態から少しずつ回復傾向となってきているようです。

・・・・・

このように医師12年目にもなるのに、まだまだ未熟であり、学ぶことが多いと痛感しました。

そして、
必ず画像上所見があるからといって、確定診断するのではなく、本当にそうか?と必ず自分自身に問わなければいけないと改めて再確認した 非常に考えさせられた経験でした。

ここでギランバレー症候群とはなにか・・・説明します( `ー´)ノ

【ギランバレー症候群とは・・・】

ギラン・バレー症候群は、大半が、発症の1~3週間前に風邪をひいたり下痢をしたりといった感染症の症状が出現するようです。(感染症状がない場合もあります。私が経験した症例はそうでした)。感染の主な病原体はカンピロバクター(Campylobacter jejuni)、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バール(Epstein-Barr)ウイルスです。
感染に伴い、本来は外敵から自分を守るためにある
免疫のシステムが異常になり、自己の末梢神経を障害してしまう自己免疫であると考えられ、脱力、しびれ、痛みなどの症状が現れます。
約60%の患者さんの血液中に、末梢神経の構成成分である糖脂質(特にガングリオシド)に対する抗体がみられます。

この病気は人口10万人当たり年間1~2人が発症すると推定されていて、子供からお年寄りまで、どの年齢層の方でもかかることがありますが、平均発症年齢は39歳で、男性の患者さんの方がやや多いことが知られています。日本では特定疾患に指定されています。

症状
典型的な症状としては、感染症状(咳・腹痛・下痢など)の数日から数週間後に手足の力が急に入らなくなってきます。通常、下肢から始まり徐々に上肢に広がっていきます。
その他にも顔面の筋肉に力が入らない(顔面神経麻痺)
目を動かせなくなって物が二重に見える(外眼筋麻痺)
食事がうまく飲み込めない、ろれつが回らない(球麻痺)
などの症状が出る方もいます。

自律神経が障害されると不整脈、起立性低血圧などがみられます。
重症例では呼吸をするための筋肉が麻痺して、人工呼吸器の装着が必要になります。
症状は良くなったり悪くなったりはせず、ピークを過ぎれば改善するようですが、症状の進行は急速で、通常4週間前後でピークに達し、以後回復傾向になり6~12ヶ月前後で症状が落ち着いて安定した状態になります
しかし、重症例では回復までに長期間を要します。何らかの障害を残す方が約2割いて、約5%の方は死亡する可能性もある怖い病気です。

検査
・筋電図検査
・血液検査
発症早期に自己抗体である抗糖脂質抗体が検出されることがあります。
・髄液検査
病気の初期には異常がみられないことが多いですが、1週間以後には細胞数の増加を伴わない、蛋白の上昇がみられるようになります。

治療
自然に症状が軽くなり、予後(治療後の見通し)の良い病気と考えられてたこともあったよようですが、一部の方は重症で、適切な治療がされないと後遺症を残す方もいます。したがって、発症してからなるべく早く治療を開始する必要があります。

・血液浄化療法
血液から血球を除いた液体成分である血漿(けっしょう)を遠心分離器・半透膜などを用いて分離し、血漿中の有害物質を取り除いてから体内に戻す治療法です。

免疫グロブリン大量静注療法
ヒト免疫グロブリン0.4g/kgを5日間連続して点滴する治療です。

上記のような病態ですが、今回は頚髄症を合併していた症例だったことから、幸いにも大学に紹介させていただき、診断していただけたことが救いでした。

今後も医師としての自己研鑽を忘れずに日々精進してきたいと改めて感じました。

これからも頑張ります!! Dr.manao

ABOUT ME
manao
整形外科医フリーランス医師 子育てに奮闘しながら自己研鑽のため 色々な分野に挑戦しています。 よろしくお願いいたします。