整形外科(医療)

【医療】先天性股関節脱臼 乳児検診について


こんにちわ!!manaoです。

今日は私の地域医療の業務のひとつであります【乳児検診】についてお話したいと思います。

現在、1か月検診,4か月検診の一環として、乳児の検診業務をおこなっています。

先天性股関節脱臼及び斜頸の検診です。

先天性股関節脱臼とは・・・

生下時、生下後に足の長さが異なっていたり、股関節が固くておむつ交換の際に違和感を感じたりして気づくことが多く、

股関節から大腿骨頭が外れている状態を呈している疾患です。

乳児はまだ、股関節周囲の股関節を守っている組織が弱かったりまたは骨の作りが未発達のため骨頭が臼蓋(受け皿)から外れやすい状態を呈すことが大人にくらべ多いです。

もちろん皆が外れるわけではありませんが、大人と違ってリスクがあるということですね(*_*;

ほとんどが、亜脱臼しやすい状態でも自然に整復され特に問題ないことが多いですが、まれに脱臼したままもどらない状態になってしまうことがあります。

それを知らずに経過をみてしまうと、歩行がおかしくなってしまったり(跛行)、将来大人になった時に変形性股関節症といわれる股関節の変形を呈し、痛くて歩けないなどの症状がでてくる怖れがあります。

早期に発見し、可能性がある乳児にはコアラ抱っこという抱き方を徹底することやおむつ替えの注意点など日常生活の指導をお話してあげることが大切です。

このようにいわゆるМ字開脚位で抱っこすることが重要なんです(^^♪
ほとんどがこれの徹底で経過観察し自然軽快することが多いんですし、予防になります。

もし明らかに完全脱臼を呈している場合は、早期にリーメンビューゲルという装具を装着して加療を行う必要があります。
このような装具です(*_*; このような股関節の肢位で自然に股関節が整復されるまで角度を徐々につけていき、整復位を維持できるようにしていくんですね。

そして、それでも脱臼がなおらないような稀な症例の場合は、小学生になる前に手術加療になることもあります。

原因としては、

先天的なもの出生前の環境 骨盤位分娩 多胎妊娠、子宮筋腫、羊水過少があげられ、出生後は、窮屈な服やおむつで股関節の動きを制限してしまっていたり、抱き方の問題やスリングなどの抱っこ紐による股関節が過伸展していたりする状態で固定されることでリスクを助長することがあります。

そのため、検診にてリスクがある患児には抱っこの指導など保健師の方と連携して親御さんにお伝えすることが重要ですし、そして明らかな脱臼の疑いのある患児は病院でエコー検査やレントゲン写真による確認をすすめます。正直1歳前の患児の場合、レントゲンでははっきりしない場合もあります。できれば、乳児エコー検査をやっている病院への受診をおすすめましす。

上の写真が先天性股関節脱臼の明らかなレントゲン写真です(*_*;
の股関節がおかしいのが分かりますか? 左に比べて、丸い骨端核という部分が外側にずれていることが分かると思います( `ー´)ノ

斜頸とは・・・

いわゆる一般的に向き癖といわれる首の体位ですね。

向き癖かな?なんて思っていても特に改善がないし、全然右側なり左側をむかないんです・・・

そういった場合は、筋性の問題や骨性の問題がありますが、斜頸という状態を呈していることがあります。

斜頸の問題で乳児でみなければいけないものが筋性斜頸ですね。

筋性斜頸とは、

首を左右に振るためには胸鎖乳突筋という筋肉が収縮することで可能となっていますが、この胸鎖乳突筋が固くなってしまったり、収縮してしまったりすることで、首の動きに制限がでる状態です。胸鎖乳突筋にしこりのような腫瘤がふれたりします。下絵のように首の側面が腫れているのがわかりますか?

ほとんどが先天的なものです(生まれつき)ほとんどが1歳半程度で自然に治っていきますが。まれに治らず経過する子もいます。

その際は装具療法にて、矯正していく方法

場合によっては小学校入学前に筋切離術という手術加療が必要になる場合もあります。放置すると、顔面の変形などがでてきてしまい、その時に治療しても遅いこともあります。

ただ検診の際には疑いがあってもほとんど経過観察です。先ほども書いた通り自然に軽快することも多いからですね(^^♪

我々の検診の必要性は、経過観察が必要な患児に対しちゃんとかかりつけ医を作ってもらう様に2次検診に紹介することだと思って取り組んでいます。経過観察=大丈夫といっているわけではありません(+_+)

私の整形外科医としての乳児検診の参考本はこちらです。

 

いろいろな本のなかでもとにかく本の厚さが薄い!!余計な事を書かず、コンパクトにまとめられているのと患者さん目線でもかかれているので読みやすいです。
医療関係者でもなくても読みやすいので読んでみてください(*^-^*)

 

それでは、具体的に私が行っている検診の流れを紹介します。

【先天性股関節脱臼】

1.大腿皮膚溝の左右差 おむつを脱がせてふともものしわの数、明らかなしわの深さの左右差chek そのまま両足をそろえて、脚長差chek(足の長さ)

2.Allis sign check 膝立てをして、膝小僧の高さい左右差はないかのcheckですね(^^♪

3.開排制限の有無 股関節を外転外旋位にして股関節の硬さのcheck  M字開脚ですね(^^♪ 女児の場合はほぼ床と並行になるくらいが正常 男児は固いので、明らかな硬さがあるかないか?数字でいうと床となす角が30度以上あるようであれば陽性ですが、測定したりはしません。

4.clickがあるか? 股関節を外転外旋時にコクっとした整復音を指先でかんじるか?です。

上記1 2項目当てはまるようなら、検診として要精査としています。

上記1 2項目当てはまるようなら、検診として要精査としています。

しかし、1に関しては太っている乳児ではかなり陽性ででてしまいますので、その際は脚長差と合わせて陽性であれば1点として考えています。

ここにテキストを入力

そのあと、おむつをはかせて、首に移ります。

【筋性斜頸】

1.まず見た目上明らかな斜頸をていしているか?cock robin positionというやつですね(/・ω・)/

2.胸鎖乳突筋の触診 明らかな腫瘤や索状物の有無check

3.診察台から頸部をだして、回旋側屈のcheck きちんと後頭部を抑えて、右回旋左回旋が90°いくかcheck いかなければ回旋制限ありと判断!! 側屈check。

上記1項目でもあるようであれば要精査経過観察です。

ここまでが検診の内容ですが、私はついでに

強剛母指 握り母指 内反足のcheckもしています。

強剛母指 母指の第1関節が屈曲したままで伸ばさない状態ですね。

握り母指 こちらは母指の第2関節が屈曲したままで グーパーしない 変だな?と感じるときですね。

内反足 足部は完全に内反していないか?つま先が内側に向いてしまってる状態です。異常なのは簡単にいうと足首の背屈(つま先側に足首を動かせるか?)制限がでているかどうかですね((+_+))

整形外科の視点から、私のいる地域へ医療貢献ができたらいいなと思って取り組んでいます。!(^^)!

今日もありがとうございました。

明日も頑張りましょう!! manao

 

ABOUT ME
manao
整形外科医フリーランス医師 子育てに奮闘しながら自己研鑽のため 色々な分野に挑戦しています。 よろしくお願いいたします。